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1st-partyデータとは?3rd-partyとの違い・Cookie廃止・改正個情法での重要性

1st-partyデータとは?3rd-partyとの違い・Cookie廃止・改正個情法での重要性

1st-partyデータとは?3rd-partyとの違い・Cookie廃止・改正個情法での重要性

導入

1st-partyデータ(ファーストパーティデータ)とは、企業が自社のチャネル(自社サイト、自社アプリ、自社イベント、CRM、メール等)を通じて直接取得したユーザー行動・属性データのことです。Cookie廃止、改正個人情報保護法、GDPR/CCPAといった規制環境の変化により、2020年代後半のデジタルマーケティングにおいて中核的な資産として再認識されています。

なぜ今、1st-partyデータが重要なのか。理由は単純で、3rd-partyデータを起点としたターゲティング・ABM・広告最適化の仕組みが、規制と技術の両面から構造的に縮小しているからです。本記事では、1st-partyデータの定義、3rd-partyとの違い、規制環境、BtoBでの活用パターン、これからのトレンドまでを整理します。


1st-partyデータの定義

1st-partyデータ(First-party Data)とは、自社が顧客や見込み顧客から直接取得したデータを指します。具体的には次のようなデータ群が含まれます。

カテゴリ
Web行動データ 自社サイトの閲覧ログ、滞在時間、スクロール深度、クリック
アプリ行動データ 自社アプリの利用ログ、機能利用状況
取引データ 購買履歴、契約情報、解約履歴
連絡先データ 名前、メール、企業名、役職(フォーム入力等で取得)
イベントデータ セミナー申込、参加、アンケート回答
コミュニケーションデータ メール開封、クリック、問い合わせ履歴
サポートデータ 問い合わせ内容、満足度、解約理由

特徴は3つあります。

  • 取得経路が透明:ユーザーが自社チャネルで自発的に提供したデータ
  • 同意取得が容易:プライバシーポリシー等で目的を明示しやすい
  • データ所有権が自社:再加工・分析・活用の自由度が高い

1st-party / 2nd-party / 3rd-partyデータの違い

データは取得経路によって3つに分類されます。

種別 取得元 規制リスク
1st-party 自社の直接取得 自社サイト閲覧、自社購買履歴、自社CRM 低(同意取得可能)
2nd-party 他社の1st-partyを直接購入/共有 パートナー企業のデータ共有、共同マーケティング 中(取得元の同意設計に依存)
3rd-party 第三者がCookie等で集約・再販 DMP(データマネジメントプラットフォーム)、Cookie広告ターゲティング 高(規制で構造的縮小)

3rd-partyデータの代表例は、広告配信に使われる「興味関心データ」「閲覧履歴データ」等で、これらは複数のサイトを横断するCookieによって構築されてきました。しかし、Apple ITP・Google Chrome 3rd-party Cookie廃止・各国プライバシー規制の流れにより、3rd-partyデータの取得・活用が技術的・法的に困難になりつつあります


メリット・デメリット

メリット デメリット
自社で取得した適法かつ透明なデータ スケールに時間がかかる(自社チャネルの規模に依存)
規制環境に強い 自社チャネルの外(潜在層)の情報は取れない
データ品質が高く、解像度が深い データ基盤の整備に投資が必要(CDP/CRM/MA)
顧客固有の資産として蓄積 部門間でサイロ化しやすい(営業/マーケ/サポートで分散)
競合がコピーできない 規模の小さい企業では分析母数が不足する

最大の利点は「顧客資産として残る」ことです。3rd-partyデータが「契約期間だけ借りるデータ」であるのに対し、1st-partyデータは契約解除しても自社に残り続け、時間とともに価値を増します。


Cookie廃止・改正個人情報保護法・GDPR/CCPAの影響

3rd-party Cookie廃止

Apple Safariは2020年からITP(Intelligent Tracking Prevention)で3rd-party Cookieを実質ブロック。Google Chromeも段階的に廃止する方針を発表しています(具体的なタイムラインは複数回延期されているため、最新情報はGoogle Privacy Sandboxで要確認)。これにより、サイト横断のユーザートラッキングが事実上機能しなくなります。

改正個人情報保護法(日本、2022年4月施行)

個人関連情報(Cookie等)の第三者提供時に本人同意の確認が必要となり、日本でも3rd-partyデータの取扱いが厳格化されました。

GDPR(EU、2018年5月施行)

EU市民の個人データを扱う場合、明示的な同意(オプトイン)が原則必須。違反時の制裁金は最大2,000万ユーロまたは全世界年間売上の4%。日本企業もEU市民を顧客に含む場合は対象。

CCPA / CPRA(米国カリフォルニア州、2020年施行/2023年強化)

カリフォルニア州民の個人情報の収集・販売・利用に関する権利を強化。米国市場展開する企業に影響。

これらの規制が示しているのは、「ユーザー本人の明示的な同意のもとで、自社が直接取得したデータ」=1st-partyデータが、最も法的リスクの低いデータ資産であるという事実です。


BtoBでの活用パターン

BtoB領域での1st-partyデータ活用は、BtoCとはやや異なる設計が求められます。

パターン1:MQL(Marketing Qualified Lead)スコアリング

自社サイトの行動データ(閲覧ページ、滞在時間、資料DL、フォーム入力等)にスコアを付け、一定閾値を超えたリードをMQLとして営業に渡す。最も基本的な活用パターン。

パターン2:ABM(アカウントベースドマーケティング)への接続

自社サイトを訪問した企業を特定(IPリバースルックアップ、フォーム入力、Reverse-ETL等で識別)し、ターゲットアカウントの行動を追跡。営業のタイミング判断に活用。詳細はABMとは?を参照。

パターン3:イベントengagementとの統合

セミナー・ウェビナー・展示会の参加データを自社CRM/MAに統合し、Web行動と組み合わせて検討段階を判定。日本BtoBでは展示会データの活用が特に重要。

パターン4:コンテンツengagementの意味化

オウンドメディアの閲覧データを単なる「PV」ではなく、「どの段落で止まったか」「価格セクションを読んだか」「事例を最後まで読んだか」といった段落単位の意味的シグナルに変換し、検討段階の解像度を上げる活用法。生成主体だからこそ可能なパターンとして近年注目されています。

パターン5:解約予兆検知

サポート問い合わせ、機能利用率の低下、ログイン頻度の減少等の1st-partyデータからチャーンリスクを予測し、CSが先回りで介入する。


代表的なツール・基盤

CDP(Customer Data Platform)
複数チャネルの1st-partyデータを統合し、顧客プロファイルを一元化する基盤。代表:Treasure Data、Salesforce Data Cloud、Tealium、Segment(Twilio)。

CRM / MA
顧客関係管理 + マーケティングオートメーション。1st-partyデータの中核保管庫。代表:Salesforce、HubSpot、Marketo、Pardot(Account Engagement)、Mazrica。

プロダクトアナリティクス
自社プロダクトの利用データ取得。PostHog、Amplitude、Mixpanel、Heap等。

1st-party Tag Management
自社サイトのタグ管理。Google Tag Manager、Tealium iQ等。サーバーサイドタギング(GA4 Server-side、Server-side GTM)への移行が進んでいる。

コンテンツengagement計測
段落単位等の意味的シグナル取得は、自社で記事構造を保持しているプラットフォーム(opus tag等)でないと取得困難。


日本での導入実態

国内BtoB市場における1st-partyデータ活用の現状は、二極化しています。

先進企業:Salesforce/HubSpot/Marketo等のグローバルツールを軸に、CDPを導入し、Web/イベント/CRMを統合。MQL→SQL→受注のファネルを高解像度で運用。

中堅以下:Excel管理 / 部門サイロ化 / Web行動データを活用できていない、というケースが大多数。MAを導入してもメール配信ツールとしてしか使えていない企業も多い。

特に日本固有の課題として、展示会・名刺起点のオフラインリードと、Web行動データの統合が挙げられます。Sansan等の名刺管理ツールを軸に、ようやくこの統合が始まりつつある段階です。


これからのトレンド

サーバーサイドタギングへの移行

ブラウザ側の制約が強まる中、計測ロジックをサーバー側に移すサーバーサイドタギング(Server-side GTM、CAPI等)が主流に。データ品質と取得安定性の両面で優位。

1st-party engagementの深層化

スクロール率・滞在時間といった粗い粒度から、段落単位・セクション単位の意味的engagementへ。AI生成コンテンツの普及により、生成主体だけが取れる新しいシグナル層が立ち上がりつつある。

CDPと生成AIの統合

1st-partyデータを生成AIにフィードして、パーソナライズドコンテンツ・パーソナライズドメール・パーソナライズドLPを動的に生成する流れ。Salesforce Einstein、HubSpot Breeze等のAI機能拡張が代表例。

Data Clean Room / 2nd-partyデータの再注目

3rd-partyの代替として、信頼できるパートナー企業との1st-partyデータ共有(Data Clean Room)が進化。Snowflake、Habu、AWS Clean Rooms等が基盤を提供。

Privacy-by-Designの標準化

設計段階からプライバシーを組み込むPrivacy-by-Designの考え方が、BtoBプロダクトの標準仕様に。同意管理プラットフォーム(CMP)の導入も進む。


関連用語


opusの見解:1st-partyを”取る”だけでなく”創る”へ

opus LLCは、1st-partyデータの議論を「どう取るか」から「どう創るか」へとシフトさせる必要があると考えています。

多くの企業は1st-partyデータを「自社サイトに来たユーザーをどう計測するか」という発想で扱いますが、本質的な勝負は、そもそも自社サイト・自社イベント・自社コンテンツに来てもらえる場をどう設計するかにあります。1st-partyデータは、コンテンツとイベントの継続運用がなければ、そもそも生まれないからです。

opusはこの発想をDemand Creation = 1st-party インテントデータの生成装置設計として体系化し、自社プラットフォームconcertoで実装しています。コンテンツ生成(sonata、特許出願中の独自ワークフロー)、イベント運営(gala)、段落単位engagement計測(opus tag)の統合により、1st-partyデータを「取る」のではなく「創る」設計を提供しています。


まとめ

1st-partyデータは、Cookie廃止・改正個人情報保護法・GDPR/CCPAという3つの潮流の中で、最も法的リスクが低く・最も顧客資産化しやすい・最も競合がコピーできないデータ資産として再評価されています。

ただし重要なのは、データを”取る”だけでなく、データが生まれる場(コンテンツ・イベント・コミュニティ)を”創る”こと。これからの数年は、1st-partyデータ活用の優劣が、BtoBマーケティング全体の競争力を決める時代になると見られます。

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新居 祐介

新居 祐介 Yusuke Arai

opus合同会社 代表社員

博報堂アイ・スタジオで大手ナショナルクライアントのWebサイト制作をプロデュースし、その後サイバーエージェントにてAmebaブログを始めとするAmeba関連サービスの立ち上げに参画、開発プロジェクトをリード。2006年に独立しWebサイト開発事業や自社メディア事業を主とする会社を設立・経営するも、8期目にトラブルで廃業。その後アマナで執行役員及びアマナイメージズ社長就任。2024年9月にopus合同会社を設立。

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