オウンドメディアは、企業の長期的な集客資産として多くの企業が取り組んでいます。しかし、明確な戦略なく始めてしまい、途中で更新が止まってしまうケースも少なくありません。
本記事では、オウンドメディアの立ち上げから運用までの10のステップを、実践的なポイントとともに解説します。2025年の環境に合わせた、生成AI活用のポイントも含めてお伝えします。
ステップ1:目的とゴール(KGI)の明確化
最初に決めるべきは「なぜオウンドメディアをやるのか」という目的です。目的が曖昧なまま始めると、コンテンツの方向性がブレ、成果が出る前に挫折するリスクが高まります。
代表的な目的:
- リード獲得:見込み顧客の情報を取得し、営業活動に繋げる
- ブランディング:業界での認知度と信頼性を高める
- 採用強化:企業文化や仕事の魅力を発信し、採用候補者を引き付ける
- 顧客サポート:FAQ・ナレッジベースとして顧客の自己解決を促す
KGI設定の例:
- 「12ヶ月以内に月間リード獲得数30件を達成する」
- 「6ヶ月以内に指名検索数を2倍にする」
目的とKGIを明確にすることで、全ての施策の判断基準ができます。
ステップ2:ターゲットペルソナの設定
「誰に読んでほしいか」を具体的に定義します。漠然と「IT担当者向け」ではなく、具体的なペルソナを作成します。
ペルソナに含める要素:
- 役職・部門・業種
- 抱えている課題や悩み
- 情報収集の行動パターン(検索、SNS、業界メディア等)
- 意思決定のプロセスと影響要因
- コンテンツに求めるもの(実践的なノウハウ?事例?データ?)
AI活用のポイント:生成AIに業界・役職の情報を入力し、ペルソナの仮説を複数パターン生成。それをベースに社内の営業チームやカスタマーサクセスの知見で補正すると効率的です。
ステップ3:競合・市場の調査
同じ業界・テーマで発信している競合メディアを分析し、差別化のポイントを見つけます。
競合調査で見るべきポイント:
- どんなテーマ・キーワードで記事を書いているか
- 記事の品質と深さ(網羅性、独自性、事例の有無)
- 更新頻度とコンテンツ量
- SNSでの反応やシェア数
- 検索順位の状況(上位を取っているキーワード)
差別化の方向性:
- 競合がカバーしていないニッチなテーマを狙う
- 自社ならではのデータや事例を提供する
- コンテンツの形式で差別化する(動画、インタラクティブ等)
- 専門家の知見や実務経験に基づく深い洞察を提供する
ステップ4:コンテンツ戦略の策定
ペルソナと競合分析をもとに、コンテンツ戦略を設計します。
戦略に含めるべき要素:
- テーマカテゴリ:メディアが扱うテーマの柱を3〜5つ設定
- キーワード戦略:各カテゴリで狙うキーワード群とその優先順位
- コンテンツタイプ:ハウツー記事、事例紹介、業界レポート、インタビュー等
- カスタマージャーニーとの対応:認知→興味→検討→決定の各段階に合わせたコンテンツ
- CTA設計:各記事からの導線(資料請求、メルマガ登録、問い合わせ等)
ステップ5:予算と体制の決定
リソースの見積もりと体制設計を行います。
必要な予算項目:
- CMS・ホスティング費用
- 人件費(社内スタッフまたは外部ライター)
- AIツールのライセンス費用
- デザイン・写真素材費用
- SEOツール(Ahrefs、SEMrush等)
- 初期のサイト構築費用
体制パターン:
- 最小構成(1〜2名):編集長 + AI活用。月4〜8本の公開が目安
- 標準構成(3〜5名):編集長 + ライター + SEO担当。月8〜12本
- フル構成(5名以上):上記 + デザイナー + 動画担当 + SNS担当。月12本以上
ステップ6:CMS(コンテンツ管理システム)の選定
メディアの基盤となるCMSを選定します。
主要な選択肢:
- WordPress:最も普及しているCMS。豊富なプラグインとテーマ、SEO対応の充実。カスタマイズ性が高い反面、保守運用の手間がかかる
- ヘッドレスCMS(microCMS、Contentful等):フロントエンドを自由に設計できる。Next.jsなどとの組み合わせで高速なサイトを構築可能
- HubSpot CMS:マーケティングツールとの統合が強み。リード管理やMAとシームレスに連携
- note pro:日本語環境に特化。記事の公開と運営に必要な機能を手軽に利用可能
選定のポイント:チームの技術力、予算、連携したいツール、将来の拡張性を総合的に判断すること。
ステップ7:サイト設計とデザイン
読者にとって使いやすく、ブランドを体現するサイトを設計します。
設計のポイント:
- 情報設計:カテゴリ構造、タグ設計、パンくずリスト、サイトマップ
- UX設計:読みやすいフォントサイズ、適切な行間、モバイルファースト
- CTA配置:記事内・記事下・サイドバーに自然な導線を設計
- 表示速度:Core Web Vitals(LCP、FID、CLS)の最適化
- SEO基盤:構造化データ、OGP設定、canonical設定
ステップ8:コンテンツ制作(AI活用)
いよいよコンテンツの制作に入ります。AI時代の制作フローを確立しましょう。
AI活用の制作フロー:
- テーマ・キーワード決定(人間)— 戦略に基づき、ターゲットキーワードを選定
- 構成案の生成(AI + 人間)— AIが複数の構成案を提示し、人間が選定・修正
- ドラフト生成(AI)— 構成案に沿ったドラフトをAIが生成
- 加筆・編集(人間)— 独自の知見、事例、データを追加。ブランドボイスに調整
- ファクトチェック(人間)— データ、固有名詞、引用の正確性を確認
- SEO最適化(AI + 人間)— タイトル、メタディスクリプション、内部リンクの最適化
- ビジュアル制作(AI + デザイナー)— アイキャッチ画像、図解の制作
- 最終レビュー・公開(人間)— 品質チェックの上、公開
公開前チェックリスト:
- タイトルが魅力的で、キーワードを含んでいるか
- メタディスクリプションが120〜160字で要点を伝えているか
- 見出し構造(H2/H3)が論理的で読みやすいか
- 画像にalt属性が設定されているか
- 内部リンクと外部リンクが適切に設定されているか
- CTAが自然に配置されているか
- モバイルでの表示確認ができているか
ステップ9:運用と測定
公開後の運用と効果測定のルーティンを確立します。
日次・週次の運用タスク:
- アクセスデータの確認(GA4、Search Console)
- SNSでのコンテンツ配信と反応のモニタリング
- 読者コメントやフィードバックへの対応
月次の分析・改善:
- KPIの達成状況レビュー
- パフォーマンスの良い記事と悪い記事の分析
- 検索順位の変動チェック
- コンテンツカレンダーの翌月分策定
測定すべきKPI:
- PV数・セッション数
- 検索流入数とキーワード順位
- エンゲージメント(滞在時間、スクロール率)
- コンバージョン数・CVR
- SNSシェア数・リファラル流入
ステップ10:継続的な改善と成長
オウンドメディアは「始めること」よりも「続けること」が難しい。継続的な改善の仕組みを構築します。
リライト戦略:
- 公開後3〜6ヶ月で検索順位をチェックし、順位が伸び悩んでいる記事をリライト
- 情報の鮮度が落ちた記事を最新データで更新
- 関連記事同士の内部リンクを強化
- 低パフォーマンス記事の統合または削除
成長のための施策:
- 新しいコンテンツフォーマットへの挑戦(動画、ポッドキャスト、ウェビナー等)
- 外部メディアやインフルエンサーとのコラボレーション
- メールマガジンやLINE公式アカウントによるリテンション強化
- ユーザー参加型コンテンツ(アンケート、事例募集等)の実施
継続のコツ:
- 完璧を求めすぎない — 70点の記事を出して改善する方が、100点を目指して更新が止まるよりも成果が出る
- 小さな成功を可視化する — アクセス数の増加、初めてのリード獲得など、小さな成果を共有しモチベーションを維持
- 仕組みで動かす — 属人的な運用ではなく、テンプレート・チェックリスト・カレンダーで仕組み化
まとめ
オウンドメディアの立ち上げは、10のステップを一つずつ着実に進めることで、失敗のリスクを大幅に下げられます。特に2025年の環境では、生成AIを「賢い助手」として活用しつつ、戦略・品質管理・独自性は人間が担うというハイブリッドアプローチが成功の鍵です。
最も重要なのは、最初のステップである「目的の明確化」です。ここがブレなければ、途中で方向を修正しながらも、着実に成果につなげることができます。
opusでは、オウンドメディアの企画・立ち上げ・運営をワンストップで支援しています。AIを活用した効率的なコンテンツ制作から、戦略設計まで、お気軽にご相談ください。
著者
新居 祐介 / Yusuke Arai (opus合同会社 代表社員)
博報堂アイ・スタジオで大手ナショナルクライアントのWebサイト制作をプロデュースし、その後サイバーエージェントにてAmebaブログを始めとするAmeba関連サービスの立ち上げに参画、開発プロジェクトをリード。2006年に独立しWebサイト開発事業や自社メディア事業を主とする会社を設立・経営するも、8期目にトラブルで廃業。その後アマナで執行役員及びアマナイメージズ社長就任。2024年9月にopus合同会社を設立。