opus
opusのこと 更新: 2026.09.05

【小説】sonataで変わったオウンドマーケターの日常

sonataで変わったオウンドマーケターの日常

opusでは、sonata関連製品をリリース予定です。今回は、そのコンセプトを、あるマーケティング担当者の日常を通して、ご紹介していきます。

登場人物

  • 里見 美咲(28)——株式会社アクティア(従業員95名、中堅企業向け人事労務クラウド「チームリンク」を提供、架空)マーケティング部。Webマーケティング全般をひとりで担当。KPIはMQLの創出数
  • 高梨(49)——マーケティング部長。営業本部長を兼務。予算の最終判断者。
  • 岡田(31)——インサイドセールス。美咲が渡したリストに最初に電話をかける人。

前編

1. 18時47分、ホストが退出しました

画面の中の顔が、ひとつずつ消えていく。

「本日はご参加いただき、ありがとうございました」と言い終えてから、美咲はマイクをミュートにして、ホスト退出のボタンを押した。18時47分。月に一度のウェビナーが、今月も終わった。

今回のテーマは「2026年の労務管理、どこまで自動化できるか」。申込81件、当日参加54件。質疑応答は予定を10分オーバーして、最後の質問は「勤怠の締めと給与計算の連携について、もう少し詳しく」だった。踏み込んだ質問だ。誰かの現場で、実際に困っていることの質問だ。

美咲はノートPCを閉じて、冷めきったコーヒーを飲んだ。

達成感はある。でも、この後どうすればいいのかが、いつも分からない。

54人の顔が、さっきまでそこにいた。その54人が、今どこで何を考えているのか、美咲は何ひとつ知らない。知る手段が、彼女の手元にはひとつもなかった。

2. 善意でできた名簿

翌朝、美咲は9時前に出社して、参加者データの整形を始めた。

ウェビナーツールから落としたCSVを開き、申込フォームの回答と突き合わせる。会社名、部署、役職、氏名、メールアドレス、従業員規模、そしてアンケートの回答。表記のゆれを直し、テスト参加した社内メンバーを除き、重複を消す。1時間半かけて、81行のスプレッドシートができあがった。

美咲はそれを営業チームのSlackチャンネルに投げた。

【共有】9月ウェビナー参加者リスト(81件) お待たせしました。今月分です。アンケートの自由記述もH列に入れてあります。よろしくお願いします🙏

この作業を、美咲は「善意」でやっている。誰かに頼まれた形式ではない。営業が使いやすいようにと、自分で考えて整えている。表記のゆれを直すのも、自由記述を残すのも、少しでも役に立てばと思ってのことだった。

その日の午後、月次のマーケ定例があった。

「今月のMQLは81件です。目標60件に対して135%です」

高梨部長は資料を見て「順調だな」と言った。それで、その議題は終わった。

KPIは達成している。ずっと達成している。 美咲が居心地の悪さを感じ始めたのは、その「ずっと」のほうだった。数字は毎月きれいに並ぶのに、その数字が何を生んだのかを、美咲は一度も確かめたことがない。

3. 「これ、どう使えばいいですか」

その週の金曜日、コピー機の前で岡田とすれ違った。

「里見さん、ちょっといいですか」

岡田は言いにくそうにしていた。彼はいつも丁寧で、美咲に不満を言ったことがない。だからこそ、その顔の色で分かった。

「先週いただいたリストなんですけど。81件、上から順に架電してまして」

「はい」

「30件くらいまで進んだんですが、半分以上が『とりあえず情報収集で参加しました』で終わってしまって。それ自体は仕方ないと思うんです。ただ——」

岡田は少し言葉を選んだ。

このリスト、どう使えばいいですか。 どの人が本気で検討していて、どの人がまだそうじゃないのか、こっちからは何も分からないので。81件を上から順に、全部同じトークで当たるしかなくて」

美咲は「すみません、次はもう少し絞ります」と答えた。

そう答えてしまってから、自席に戻る廊下で、背中が冷たくなった。

絞る基準を、自分は何も持っていない。

役職で絞る? でも決裁者が参加するとは限らない。むしろ現場の担当者が社内を動かして受注につながったケースを、美咲はいくつも知っている。従業員規模で絞る? 去年いちばん大きな契約は、社員40人の会社だった。

アンケートの「導入検討時期」で絞る——それは去年、実際に試した。「3ヶ月以内」に丸をつけた人だけを優先して営業に渡した月があった。結果は、他の月とまったく変わらなかった。

考えてみれば当たり前だった。丸をつけるのは、1秒でできてしまう。 検討していなくてもつけられるし、本気で検討している人が「未定」を選ぶこともある。アンケートの丸は、その人の本気度を1ミリも保証しない。

自席に戻って、美咲は81行のスプレッドシートをもう一度開いた。

会社名、部署、役職、氏名、メールアドレス。全部埋まっている。この人たちが誰なのかは、完璧に分かる。それなのに、この人たちが何に関心を持っているのかは、一行も書かれていない。

美咲が渡していたのは、リストではなかった。ただの名簿だった。

4. 「読んでいますか」と聞いてみた

半年前、美咲はアンケートに一問だけ設問を足していた。

弊社のオウンドメディア「チームリンク・ジャーナル」をご覧になったことはありますか? □ よく読んでいる □ 読んだことがある □ 読んだことがない □ 覚えていない

足したときは、いい設問だと思った。オウンドメディアが集客に効いているなら、この設問がそれを証明してくれるはずだと。

9月の回答は、こうだった。

  • よく読んでいる:7件
  • 読んだことがある:34件
  • 読んだことがない:11件
  • 覚えていない:29件

美咲は、この数字をどう扱えばいいのか分からなかった。

「読んだことがある」の34件には、3年前に検索で一度たどり着いたきりの人と、先月から週に一度は開いている人が、同じ箱の中に入っている。この二人はまったく違う温度のはずなのに、アンケートはその違いを区別しない。いつ、どの記事を、どれくらい読んだのか——いちばん知りたいことが、選択肢のどこにもなかった。

「覚えていない」の29件は、たぶん正直な回答だ。人はふつう、どのサイトの記事を読んだかなんて覚えていない。回答者が不誠実なのではなく、聞き方に限界があった

そして「よく読んでいる」に丸をつけてくれた7人。この7人ですら、美咲はその人が具体的にどの記事を読んだのかを知らない

名前は完璧に分かる。関心はまるで分からない。美咲の手元にあるデータは、ずっとその形をしていた。

5. 一週間が、埋まっている

美咲の仕事は、ウェビナーだけではない。

月曜は前月レポートの作成と、翌月ウェビナーの企画書。テーマを決めて、登壇を営業やCSに依頼して、LPの構成を書く。 火曜は集客メールの作成と配信設定、広告の入稿チェック。 水曜はオウンドメディアの記事進行。外部ライターとのやり取りが中心だ。 木曜は導入事例インタビューか、営業から降ってくる「この資料の体裁を整えてほしい」という依頼。 金曜は、月曜から木曜のうちに終わらなかったこと全部。

SNSは、1年前の年間計画に「強化する」と書いたきり、手つかずのままだ。

先月の木曜日、美咲は導入事例インタビューの文字起こしに3時間かけた。録音を1.5倍速で流しながら、聞き取れないところで止めて、戻して、また止める。インタビュー本体は60分だったのに、テキストにするだけで午後が丸ごと溶けた。そこから構成を組み、初稿を書き、お客様に確認をお願いし、修正を反映する。公開まで、いつも1ヶ月半かかる。年に4本が限界だった。

オウンドメディアの月次更新は、外部ライターに1本4万円で依頼している。依頼から初稿まで2週間、修正2往復でさらに1週間。予算の都合で、月に出せるのは多くて2本。

書きたいネタは、Notionのリストに16本たまっている。

つらいのは、書けないことではなかった。16本のうちどれから書くべきかを判断する材料が、美咲の手元にないことだった。

GA4を開けばPVは分かる。でもPVが多い記事が事業に効いている記事だとは限らない。それを確かめる方法を、美咲は知らなかった。だから結局、「なんとなく反応が良さそうなもの」から順に書いていた。勘で優先順位をつけている。 その自覚が、いちばん重かった。

6. 三度試して、あきらめた

去年の秋、美咲はこの状況をAIで打開しようとした。

文字起こしを生成AIに貼り付けて、「これを導入事例記事にしてください」と指示する。速い。確かに何かは出てくる。

でも、毎回、出てくるものが違った。

一度目は、白書のように硬い文章になった。二度目は、なぜか「〜しちゃいましょう!」という馴れ馴れしい言い回しが混ざった。三度目は構成そのものが変わり、見出しの立て方が過去記事とまったくそろわなかった。

チームリンク・ジャーナルの記事は、労務担当者が読んでも身構えずに読める、丁寧だけれど平易な文体で統一している。その「らしさ」に直す作業が、毎回ゼロから発生した。

さらに困ったのが、事実の扱いだった。インタビューでお客様が「体感で、月末の残業が3割くらい減った気がします」と話した部分が、出力では「月末残業を30%削減」という断定に変わっていた。お客様に確認を出す前に、美咲が一行ずつ照合するしかない。 その照合作業が、結局いちばん時間を食った。

三度試して、美咲は静かにあきらめた。

「これなら、ライターさんのほうが安定してる」

そしてまた、1本4万円と3週間のサイクルに戻った。時間もお金も、以前とまったく同じだけかかり続けた。

7. 「それで、効果あるの?」

四半期の予算会議。美咲は、オウンドメディアの来期予算を説明する側に立たされた。

用意した資料の1枚目は、月次PVの推移グラフだった。前年同期比1.6倍。悪くない伸びだと思っていた。

高梨部長はグラフを3秒見て、こう言った。

「PVが上がってるのは分かった。それで、効果あるの?

美咲は、用意していた答えを口にした。

「オウンドメディアは、すぐに商談になる施策ではありません。うちは製品の思想と作り込みが強みなので、開発チームがどういう考えで労務の課題を解いているのか、それを発信することで技術力を理解してもらえます。ブランディングとして、じっくり効いてくるものです」

「じっくりって、いつまで?」

美咲は、言葉に詰まった。

答えられなかった。

誰が、どの記事を、いつから、何回読んで、その後どうなったのか——それを示すデータが、手元に一行もなかったからだ。あるのはPVという匿名の棒グラフだけ。棒グラフからは、商談への線を一本も引けない。

「否定してるわけじゃないんだ」と高梨は言った。「ただ、来期は広告に寄せたい。記事の本数を少し減らして、その分を広告に回すのはどうかな。広告は少なくとも、いくら使っていくら返ってきたか分かるから」

美咲は「検討します」と答えるしかなかった。

会議室を出て、自席へ戻る廊下で、美咲はずっと同じことを考えていた。

ウェビナーには手応えがある。質疑応答の質は年々上がっているし、「以前からブログを読んでいて」と言ってくれる参加者も実際にいる。オウンドメディアにも手応えはある。技術記事をきっかけに問い合わせが来たことも、一度や二度ではない。

手応えは、両方にある。それなのに、その二つは社内のどこにもつながっていない。

ウェビナーに来た人は、その前にうちの記事を読んでいたのか。読んでいたなら、どの記事だったのか。ホワイトペーパーをダウンロードした人は、そのあとサイトに戻ってきているのか。

それが分かれば——営業に渡すリストも、部長への説明も、16本の優先順位も、全部が変わるはずだった。

分かっていた。分かっていたけれど、それを知る手段を、美咲はひとつも持っていなかった。


後編

1. チェックボックスがひとつ増えた

半年後。

美咲のウェビナー申込ページは、見た目はほとんど変わっていない。galaでつくり直したフォームには、以前と同じように会社名と氏名とメールアドレスを入力する欄が並んでいる。

変わったのは、いちばん下にチェックボックスがひとつ増えたことだ。

□ サイトの閲覧履歴を、お申し込み情報とあわせて活用することに同意します

concertoの計測タグは、その少し前からチームリンク・ジャーナルの全ページに入っていた。誰が読んだかは分からない。名前もメールアドレスも持たない。ただ「ある訪問者が、この記事を、ここまで読んだ」という匿名の事実だけを、日々積み上げている。

そして申込のとき、本人が同意したときにだけ、その匿名の足跡と、galaが預かった名前とが、一本の線でつながる。

美咲がやったのは、タグを入れたことと、この一行を足したこと。それだけだった。

2. 月曜の朝の、12行

その月のウェビナーは、申込72件、参加51件。数字は半年前と大して変わらない。

変わったのは、月曜の朝に美咲が見ている画面だった。

名簿ではない。参加者ごとに、こういう行が並んでいる。

A物流/管理部・課長 初回訪問:4ヶ月前(検索)/申込3日前に「勤怠締めの自動化」記事を読了、その翌日に料金ページを2回、同業種の導入事例を1本読了

B製作所/情報システム部 初回訪問:申込当日(広告)/セミナーLPのみ、他ページ閲覧なし

C社/人事部・部長 初回訪問:8ヶ月前/過去に4記事を読了。直近2ヶ月は訪問なし、申込当日に再訪

誰かが「この人はホットです」と判定してくれるわけではない。自動で点数がつくわけでもない。

そこにあるのは、事実だけだ。 誰が、いつから、何に関心を持ったうえで、この申込ボタンを押したのか。

美咲はこの一覧を眺めながら、初めて「絞る」ということができた。4ヶ月前から通っていて料金ページまで見ているA物流の課長と、当日に広告から来たB製作所の担当者では、営業がかけるべき最初の一言がまったく違う。C社の部長のように「一度離れて、戻ってきた」人がいることも、初めて見えた。

美咲は72件のうち、関心の積み上がりが読み取れる12件を先に営業へ渡した。残りは後追いのメール導線に回した。

そして今度は、渡すときにこう書き添えた。

【共有】今月のウェビナー、先に当たってほしい12件です 各行に「申込前に何を読んでいたか」を入れています。A物流の課長は料金ページを2回見ているので、そこから入って大丈夫だと思います。

3. 「今回の、当たりでした」

翌週、岡田が美咲の席まで来た。コピー機の前で「どう使えばいいですか」と言われてから、半年が経っていた。

「里見さん、今回のリスト、当たりでした」

「本当ですか」

「A物流さん、こっちが製品説明を始める前に、向こうから『勤怠の締めのところ、御社の記事で読んだんですけど』って言ってくれて。そこから料金の話まで一気に行けました。来週、先方の部長も同席で商談です」

岡田は続けた。

「あと、B製作所さんみたいな『当日に来ただけ』の人が最初から外れてるのが、めちゃくちゃ助かります。あの層に同じ熱量で電話しても、たぶんお互い時間の無駄なので」

同じ72件、51件だった。 ウェビナーの内容も、集客の方法も、半年前と変わっていない。

変わったのは、その数字の裏側で何が起きていたかが、見えるようになったこと。ただそれだけだった。

4. 聞かなくても、分かる

美咲はアンケートから、あの設問を外した。

□ よく読んでいる □ 読んだことがある □ 読んだことがない □ 覚えていない

聞く必要がなくなったからだ。読んだかどうかは、聞くのではなく、記録から分かる。 しかも「読んだことがある」ではなく、「先月このテーマの記事を2本、最後まで読んでいる」という粒度で分かる。

代わりに残したのは、記録では絶対に分からないことだけになった。

現在、社内で検討されている課題を教えてください 本日のセミナーで、もっと詳しく聞きたかったことはありますか

回答数は減った。でも一つひとつが、次に書くべき記事の企画に直結するようになった。

聞くべきことと、測ればいいことが、はっきり分かれた。

5. 翌朝には、初稿がある

導入事例インタビューが終わった夜。美咲はもう、文字起こしに3時間かけない。

録音データをsonataに渡すと、翌朝には構成案と初稿ができている。去年つまずいた「毎回トーンが違う」は起きなくなった。チームリンク・ジャーナルの過去記事を踏まえて書かれるので、あの丁寧で平易な文体が保たれる。事実の扱いも、インタビューで実際に語られた言葉から離れないように組まれている。「体感で3割くらい」が「30%削減」に化けることがない。

美咲がやるのは、事実確認と、そのお客様らしい言い回しへの微調整だけだ。年に4本が限界だった導入事例は、四半期に2本のペースになった。

そして、ウェビナーの録画とスライドも、終了と同時にsonataに渡すようになった。翌朝にできているのは3つ。

  • セミナーレポート記事の下書き
  • 当日の質疑から起こしたFAQ
  • 営業がそのまま持っていける一枚資料のたたき台

以前、ウェビナーは「やって終わり」だった。録画データは共有フォルダに眠り、二度と開かれなかった。1回のウェビナーが、月曜には消えてなくなっていた。

今は、1回のウェビナーが記事とFAQと営業資料になって、サイトの上に残り続ける。検索から人が来る。その人の行動を、concertoが記録する。

外部ライターに依頼していた工程は3週間から1週間になり、予算は1円も増えていないのに、月に出せる記事は2本から4本に増えた。 Notionに16本たまっていたネタが、少しずつ減っていく。

どのネタから書くかも、もう勘ではない。analyseの診断が「この記事は検索の入口になっているのに、次に読ませる導線がない」と指摘する。concertoの記録が「このテーマは申込の前に読まれやすい」と示す。美咲は、その重なるところから手をつけている。

6. PVの多い記事と、読まれている記事は、別物だった

翌四半期の予算会議。美咲は、まったく同じ質問をされた。

「PVが上がってるのは分かった。それで、効果あるの?」

今度の美咲は、PVのグラフを最初に出さなかった。出したのは3枚だ。

1枚目。 先月成立した商談7件のうち、5件が申込より前にオウンドメディアの記事を読んでいたという記録。うち2件は、初回訪問から申込まで5ヶ月かかっている。

2枚目。 その5件が読んでいた記事の一覧。上位に来ていたのは、PVでは常に下から数えたほうが早い「勤怠締めの自動化」と、開発チームのインタビュー記事だった。

PVの多い記事と、商談の前に読まれている記事は、別物だった。

3枚目。 analyseの診断にもとづいて直した記事9本のうち、6本で検索順位が上がったという結果。

「『いつまで効くのか』は、正直まだ全部には答えられません」と美咲は言った。

「ただ、誰が何を読んでから問い合わせてきたのかは、いま追えます。 それを踏まえて言うと、この記事群は減らすべきではないと思っています。PVは低いですが、商談の直前にいちばん読まれているのは、この列なので」

高梨はしばらく2枚目を見ていた。それから顔を上げて、こう言った。

「……これ、営業定例でそのまま出してくれないか。あと、来期の記事は減らさない。むしろ増やす方向で考えよう」

半年前、「ブランディングです」「じっくり効きます」としか言えずに黙るしかなかった、同じ会議室だった。

言葉が強くなったわけではない。手元に事実があるかどうかの、それだけの差だった。

7. 積み上がっていく

いま、美咲の手元では、二つのものが互いを太らせている。

ウェビナーをやるたびに、galaが預かる申込と、concertoが記録してきた行動が結びついて、関心のデータが厚くなる。記事が増えるたびに、そこに触れる人が増えて、データはさらに厚くなる。厚くなったデータが、次に書くべき記事を教えてくれる。その記事が、次のウェビナーの集客を連れてくる。

ホワイトペーパーも同じだった。以前は「ダウンロード数」というひとつの数字でしかなかったものが、いまは「この人はダウンロードの前に何を読んでいて、その後どのページに戻ってきたか」まで分かる。ダウンロードは終点ではなく、その人の関心の途中経過になった。

限られた予算と、ひとりの体制。そこは半年前と何も変わっていない。それでも記事は倍出せているし、営業に渡すリストには根拠がついた。部長への説明も、もう詰まらない。

先週、美咲は高梨にこう切り出した。

「次は、SNSもやってみようと思うんです」

1年前の年間計画に「強化する」と書いたきり、手つかずだったチャネルだ。以前は、何を発信すればいいのか見当がつかなかった。だから手をつけられなかった。

いまは違う。どのテーマが、どんな立場の人に、どのタイミングで読まれているかが分かっている。 そこから逆算すれば、SNSに出す切り口は自然に決まる。

「いいんじゃないか」と高梨は言った。「今のお前が言うなら、根拠あるんだろ」

積み上げてきたものが、次の一手の足場になっている。半年前と何より違うのは、そこだった。

18時47分、ホストが退出しました——あの画面を見ながら「この後どうすればいいのか分からない」と思っていた頃と、美咲はもう、違う場所に立っている。

ここまでが考え方です。実際の手順はオウンドメディアAIツール比較|運用工程別の選び方と組み合わせ術で解説しています。

オウンドマーケティングの成果を、ROIで語れるように。

コンテンツ・ファン・コミュニティマーケティングを、インテントデータと独自の分析軸で定量評価し、戦略から改善まで伴走します。
現状の課題整理だけでも、お気軽にご相談ください。

無料で相談する →
新居 祐介

新居 祐介 Yusuke Arai

opus合同会社 代表社員

博報堂アイ・スタジオで大手ナショナルクライアントのWebサイト制作をプロデュースし、その後サイバーエージェントにてAmebaブログを始めとするAmeba関連サービスの立ち上げに参画、開発プロジェクトをリード。2006年に独立しWebサイト開発事業や自社メディア事業を主とする会社を設立・経営するも、8期目にトラブルで廃業。その後アマナで執行役員及びアマナイメージズ社長就任。2024年9月にopus合同会社を設立。

Contact