はじめに
皆さま、はじめまして。opus合同会社の代表社員を務めております新居祐介と申します。この度、私たちが取り組む新しい事業について、なぜこの事業を始めるのか、どのような想いを込めているのかを、私自身のキャリアも含めてお伝えしたいと思います。
20年の歩みが教えてくれたこと
私がメディアとテクノロジーの世界に足を踏み入れたのは、大学在学中にWebデザイナーとしてキャリアをスタートした時でした。あれから20年以上が経ちますが、その間に経験した数々の出来事が、今回の事業立ち上げの礎となっています。
大手広告代理店グループの制作会社では大手ナショナルクライアントのWebサイト制作をプロデュースし、国内最大手IT関連企業ではブログサービスをはじめとする自社新規事業の立ち上げに複数参画しました。その後、2007年に独立して自社メディア・Webインテグレーション事業を8期にわたり経営し、大手広告制作会社執行役員、また子会社のストックフォト会社社長として広告・マーケティング業界、また写真・アート業界とも深く関わってきました。
この多様なキャリアを通じて、私が一貫して感じてきたのは、「伝わる」コミュニケーションの難しさと、その重要性でした。どれほど素晴らしい商品やサービス、どれほど深い想いがあっても、それが相手に正しく、深く伝わらなければ、本当の価値を生み出すことはできません。
特に自社メディア事業を経営していた8年間では、コンテンツ制作の現場で多くの課題に直面しました。質の高い記事を継続的に制作することの困難さ、外部ライターへの委託コストの高騰、社内での専門知識やノウハウの不足。そして最終的に事業の廃業という苦い経験もしました。しかし、その失敗も含めて、すべてが今の事業への重要な学びとなっています。
今、企業が直面している現実
現在、多くの企業がオウンドメディア運営やコンテンツマーケティングに取り組んでいますが、その実情を見ると、課題は深刻です。
第一の課題は、コンテンツ制作の質と量の両立です。 特にインタビュー記事のような価値の高いコンテンツは、文字起こしから構成、執筆まで膨大な時間と手間がかかります。外部ライターに委託すれば高額になり、かといって内製するには専門スキルを持つ人材が不足している。多くの企業がこのジレンマに悩んでいます。
第二の課題は、運用担当者の孤独です。 オウンドメディアの運用は多くの場合、一人または少人数で行われており、社内に相談できる相手やノウハウの蓄積がありません。成果が出るまでには時間がかかり、PDCAサイクルを回すことも容易ではない。結果として、担当者は孤独感を抱え、モチベーションの維持が困難になっています。
第三の課題は、既存の生成AIツールの限界です。 AIは確かに進化していますが、品質のばらつき、ハルシネーション(事実に基づかない情報の生成)のリスク、企業固有の文体やトーンへの対応不足など、まだまだ課題があります。
特に、人間の感情や文脈の深いニュアンスを汲み取った、読者の心に真に響くコンテンツの作成は依然として困難な領域です。
私たちの独自のアプローチ
この市場には確かに多くのプレイヤーが存在します。汎用的なAIライティングツール、従来型のコンテンツ制作会社、大手のマーケティングソリューション企業など。しかし、私たちopusが提供する価値は、これらとは根本的に異なります。
第一の差別化要因は、「インタビュー記事特化」という深い専門性です。 汎用AIツールでは難しい、音声からの直接生成と企業ごとの詳細なカスタマイズに特化することで、ニッチながらも深いニーズに応えます。
第二の差別化要因は、私自身の「広告・写真・アート業界での実績と人脈」です。 アマナイメージズ社長として培った、国内外のトップレベルクリエイターとの関係性は、単なるクリエイターマッチングサービスでは再現できない質の高さを保証します。
第三の差別化要因は、「AIと人間の協調」への深い理解です。 技術信奉に陥ることなく、AIの限界と役割を認識した上で人間の価値を最大化するバランス感覚。生成AI全盛期を迎えつつあるこの時代にこそ、大切にし実践していきます。
第四の差別化要因は、「三位一体のエコシステム」です。 単体のAIツールやサービスではなく、AI支援、プロとの協働、人材育成が相互に支え合う循環を設計することで、顧客の長期的な成功を支援し、高い顧客継続率を実現します。
拡大する市場機会と私たちのポジション
コンテンツマーケティング市場は急速に拡大しており、特に生成AI技術の進化により、この領域は大きな転換期を迎えています。オウンドメディアを運営する企業数は増加の一途を辿り、一方で質の高いコンテンツを効率的に制作できるソリューションへの需要は急激に高まっています。
しかし、現在の市場には大きなギャップが存在します。汎用AIツールは確かに普及していますが、企業の具体的なニーズ、特に「インタビュー記事」のような高付加価値コンテンツの制作においては、まだまだ実用的なソリューションが限られています。
また、従来のコンテンツ制作会社は高品質なサービスを提供する一方で、コストと時間の制約により、中小企業や予算の限られた企業にとってはアクセスしにくいのが現状です。
私たちが狙うのは、この「品質と効率性の間にある空白地帯」です。SaaSによる継続的な収益基盤と、プロフェッショナルサービスによる高単価収益を組み合わせたハイブリッドモデルにより、持続的な成長と顧客価値の最大化を両立させます。
私たちが目指す世界
opus合同会社のミッションは、「伝わるコミュニケーションを創造し、一人ひとりの人生を豊かにする」ことです。そして、私たちのビジョンは「誰もが”分かりあえる”世界へ」です。
これは単なる理想論ではありません。テクノロジーの可能性を最大限に引き出し、それを人間ならではのクリエイティビティや共感力と組み合わせることで、あらゆるコミュニケーションの壁を取り払うことができると信じています。
私が描く未来は、企業が持つ価値ある情報や想いが、それを真に必要としている人々に、正確で魅力的な形で届く世界です。広告に頼るのではなく、企業自身がメディアとしての力を持ち、生活者と直接的で深い信頼関係を築ける世界です。
そして、多くの企業や個人が質の高い情報発信を手軽に、低コストで実現できることで、大手メディアだけでなく、様々な規模の発信者が、それぞれの声を社会に響かせることができる、多層的で健全な情報生態系を構築したいと考えています。
三つの柱で支える総合的なソリューション
これらの課題を解決し、理想を実現するために、私たちは三つのアプローチを柱とした事業を構想しています。詳細はこれから順次発表していきますが、概要は以下の通りです。
第一の柱は、AIを活用したコンテンツ制作支援です。特にインタビュー記事制作など、従来時間のかかっていた作業を大幅に効率化し、企業ごとの独自性を反映したカスタマイズされたコンテンツ生成を可能にします。AIの力を借りることで、コスト削減と時間短縮を実現しながら、質の高いコンテンツ制作をサポートします。
第二の柱は、プロフェッショナルクリエイターとの協働です。AIだけでは表現しきれない、より質の高いクリエイティブが求められる領域において、経験豊富なクリエイターとのネットワークを活用します。私がこれまでの経験で培った写真・アート業界での人脈と知見を活かし、著名なアーティストの写真展プロデュースなどの実績を基盤として、記事コンテンツから映像、イベントまで、企業のあらゆるコミュニケーションニーズに対応していきます。
第三の柱は、人材育成とコミュニティ形成です。オウンドメディア運用担当者のスキルアップと、担当者同士が学び合える環境づくりに取り組みます。実践的なノウハウの共有と、日々の運用における課題を解決するためのコミュニティを構築し、業界全体のレベルアップに貢献していきたいと考えています。
AIと人間の共創が生み出す価値
私たちの事業の核心は、AIと人間の協調にあります。AIを万能ツールとして捉えるのではなく、その限界を深く理解した上で、人間の創造性、専門性、共感力を最大限に活かすハイブリッドモデルを構築しています。
AIが生成したコンテンツに対し、人間による最終チェック・編集を組み込むことで信頼性を確保し、プロクリエイターの独自の視点と感性によってAIでは到達不可能な表現を実現し、運用担当者がAIツールを効果的に「使いこなし」、メディア全体の戦略を立案・実行できるスキルを習得できるよう支援する。
この三つのアプローチが有機的に連携することで、企業のコンテンツマーケティングとオウンドメディア運営を多角的に支援し、相互にシナジーを生み出すエコシステムを創り上げていきます。
着実な成長への道のり
私たちは明確な成長ロードマップを描いています。
第一段階では、基盤構築と初期実績獲得に注力します。AIを活用したコンテンツ制作支援の仕組みを確立し、人材育成プログラムを開始、プロクリエイターとの協働による高品質なコンテンツ制作実績を積み上げます。
第二段階には、事業拡大と収益化本格化を図ります。各サービスの機能強化を進め、講座内容の充実、対応領域の拡大、顧客基盤の拡充に取り組みます。
第三段階には、業界のリーディングカンパニーへの飛躍を目指します。サービスのさらなる高度化を進め、新たな市場への展開や関連サービスの開発にも着手していく予定です。
私たちが大切にする価値観
opus合同会社の活動を支える価値観があります。
創造的融合:テクノロジーの先進性と人間のクリエイティビティを真に融合させ、常識にとらわれない新たな価値を創造します。最新技術を活用しつつも、人の温もりを大切にし、心に響くコミュニケーションを追求します。
共感的理解:相手の立場に立ち、真に「伝わる」ことの本質を追求します。多様な視点を尊重し、顧客の潜在的なニーズを察知し、深い相互理解を実現します。
挑戦的前進:未来を見据え、常に一歩先を行く姿勢を大切にします。失敗を恐れずチャレンジし続け、新たな可能性を切り拓きます。より良いコミュニケーションの形を追求し続けることで、誰もが分かり合える世界の実現に貢献します。
強力なサポーター陣とともに
この事業を推進するにあたり、各領域のプロフェッショナルが強力にサポートしてくださっています。
企業経営、資金調達やExit、広告制作、オウンドメディア運営、生成AIプロダクト開発、コミュニティマネジメント、そしてデータ分析など、それぞれの専門分野で豊富な経験と実績を持つアドバイザーの方々に参画いただいています。
それぞれが各分野のトップランナーであり、その知見と経験を結集し、単なるスタートアップではない信頼感や安心感をお届けします。
社会への価値創造
私たちの事業は、単に企業のマーケティング活動を支援するだけではありません。より広範な社会変革への貢献を目指しています。
情報発信の民主化: これまで専門知識や高額な投資が必要だった高品質なメディア運営を、より多くの企業や組織が実現できるようにします。
クリエイターエコノミーの発展: プロのクリエイターにAIとの協業という新たな価値創造の場を提供し、持続可能なクリエイティブ業界の発展に寄与します。
質の高いコミュニケーションの促進: 企業と生活者の間に、より深い理解と信頼に基づく関係性を構築し、社会全体のコミュニケーション品質向上に貢献します。
最後に – 共に創る未来
私は、これまでの20年以上にわたるキャリアで得た全ての経験—成功も失敗も含めて—を、この事業に注ぎ込みます。この事業は私のこれまでのキャリアの集大成として取り組みたいと思っています。
生成AI技術の急速な進化という歴史的な転換点において、私たちは「人間中心」のアプローチで新たな価値を創造します。 技術に溺れることなく、人間の創造性と共感力を最大限に活かし、企業、クリエイター、そして情報を求める全ての人々にとって価値のあるコミュニケーション環境を構築していきます。
「伝わる」ことの力を信じて。誰もが”分かりあえる”世界の実現に向けて。
私たちopus合同会社は、この大きな挑戦を、皆さまとともに歩んでまいります。
当社opusでは、オウンドメディアの運営支援サービスをご提供しています。戦略立案やコンテンツ企画、記事や動画コンテンツ等の制作、またSNS運用まで幅広く対応が可能です。こちらからお気軽にお問合せください。
著者:
新居 祐介 / Yusuke Arai (opus合同会社 代表社員)
博報堂アイ・スタジオで大手ナショナルクライアントのWebサイト制作をプロデュースし、その後サイバーエージェントにてAmebaブログを始めとするAmeba関連サービスの立ち上げに参画、開発プロジェクトをリード。2006年に独立しWebサイト開発事業や自社メディア事業を主とする会社を設立・経営するも、8期目にトラブルで廃業。その後アマナで執行役員及びアマナイメージズ社長就任。2024年9月にopus合同会社を設立。これまで培ってきたWebメディア運営やデジタルマーケティングのノウハウを活かし、コンテンツマーケティング支援事業を展開している。
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